鼻は顔の中で一番前に突出しているため、怪我をしやすい部位です。

そのため、顔面骨骨折の中でも鼻骨骨折が最も多いです。

鼻骨骨折は、呼吸など生命を営む上で困ることはまずなく、主に見た目の変形が治療対象となります。そのため、軽視されることもあります。

治療法は鼻の中に専用の器具を挿入し、ズレた骨の、もともとあった位置に動かして鼻を真っ直ぐにします。

十分な麻酔を行わなければ、かなり痛みの伴う処置となり、そのため、不十分な治療となり、結果、痛い思いをしたにもかかわらず、鼻はゆがんだままという、残念な結果になることもあります。

私は、十分な麻酔を心がけています。年齢的な面を考慮し、全身麻酔で行うこともあります。

これらの、いわゆる徒手整復という治療は 受傷が2週までに行わないと、骨がズレた状態で固まってしまい、その後はいくら動かそうとしてもズレた状態のまま動かないということになります。

実際、そのように、初回の治療が不十分で鼻がゆがんでしまって、動かなくなってしまった方も多くいらっしゃいます。その場合、骨切り術が必要になってきます。私は、この鼻骨骨切りにも、ワイヤーと使った皮膚を切らない骨切り法を行なっています。そうすることで、骨折をした直後に近い状態に戻すことができ、整復が可能となります。

下の写真はいずれも左が手術前、右が手術後です。